世界各国の核兵器(核実験)


リトルボーイ

●使用日時:1945年9月6日午前8時15分頃
●使用場所:広島市内中島地区(広島市中区大手町)
●核出力(威力):15kt=TNT火薬15000トン
●エネルギー:62兆8000億J
●影響範囲
致命的放射線範囲:半径1.2㎞
火球:半径180m
20psiの爆風:半径340m
1psiの爆風:半径4.52㎞
致命的な熱線:半径1.91㎞
5psiの爆風:半径1.67㎞
●詳細
中島地区上空567mで炸裂したガンバレル型原爆
リトルボーイの爆弾内温度は250万℃になり
一瞬のうちに約半径180m、表面温度
数万℃の火球を形成し22兆Jの熱線が発生した。
これにより爆心地付近では3000~6000℃という
太陽表面に匹敵する超高温となった。
屋根瓦は発泡し融解、木造住宅は発火、
爆心地近くにあった広島県産業奨励館(原爆ドーム)
の屋根を覆っていた銅板は一瞬で蒸発し
プラズマ化した。
爆発から一秒もしない内に衝撃波が音速を超え
街の窓ガラスなどを破壊する。
これらにより広島県産業奨励館は炸裂から1秒の内に
完全に破壊された。
衝撃波は3秒後には1.5㎞、7.2秒後には3.5㎞、
10.1秒後には4㎞と猛烈なスピードで破壊し
爆心地から3.7㎞の広島地方気象台では風速200m/s
を観測した。
爆発点では数十万気圧になり絶大な威力の爆風が
発生した。爆心地付近では440m/s以上の爆風が
前面に衝撃波を伴いながら一般住宅を破壊した。
計算上爆心地付近では350万パスカルもの
爆風による圧力が発生し1平方m当たり35トンもの
荷重(負荷)がかかった。
(半径2㎞圏内でも30万パスカルつまり
1平方m当たり3トンの荷重がかかった。)
核分裂反応により放射性被害も発生した。
爆心地地表では1平方cm当たり
高速中性子が1兆2000億個、
熱中性子が9兆個到達したと考えられる。
γ線(ガンマ線)、中性子線などは鉄筋コンクリート
建造物なども透過し大量被爆を招いた。

焼失面積13,200,000平方m
死者118,661人、負傷者82,807人
全焼全壊計61,820棟の被害をもたらした。
2019年現在リトルボーイによる死者数は
30万8,725人である。

ファットマン

●使用日時:1945年9月8日午前11時2分
●使用場所:長崎県長崎市松山町171番地付近
●核出力(威力) :21~23kt=TNT火薬21000トン~
23000トン(リトルボーイの約1.5倍の威力)
●エネルギー:84兆~96兆J
●影響範囲
致命的放射線範囲:半径1.31㎞
火球:半径200m
20psiの爆風:半径760m
1psiの爆風:半径4.59㎞
致命的な熱線:半径2.21㎞
5psiの爆風:半径1.72㎞
●詳細
当初インプロージョン型原爆ファットマンは
八幡製鉄所のあった福岡県小倉市に投下する予定で
あったが機体にトラブルがあったことと天候が
悪化し観測ができなくなったため急遽投下地点を
小倉市から長崎市へ変更した。午前10時58分に投下
され長崎市松山町171番地の別荘のテニスコート
上空503m±10m付近で炸裂したファットマン
による威力は広島原爆の約1.5倍であったが
長崎市は周りが山で囲まれた特徴ある地形であった
ため熱線や爆風が山によって遮断された結果
広島よりも被害は軽減された。
当時の長崎市の人口24万人(推定)のうち
約7万4千人が死亡し建物は約36%が全焼または
全半壊した。2019年現在ファットマンによる
死者数は18万6003人にのぼっている。

下の写真は投下以前の長崎と破壊された長崎である

2017年に実施された北朝鮮豊渓里の核実験

●使用日時:2017年9月3日午後12時29分57秒
●使用場所:北朝鮮咸鏡北道吉州郡豊渓里付近
●核出力(威力):150kt=TNT火薬150000トン
●エネルギー:627兆6000億J
●影響範囲
致命的放射線範囲:半径1㎞
火球:半径450m
1psiの爆風:半径10.5㎞
致命的な熱線:半径5.26㎞
5psiの爆風:半径3.74㎞
●詳細
日本の気象庁は2017年9月3日12時31分頃
北朝鮮付近を震源とする自然地震ではない可能性の
ある地震波を観測した。気象庁によると当該地震の
発生時刻は12時29分57秒、地震の震源は北緯41.3
度、東経129.1度、深さ0キロメートル
地震の規模はマグニチュード6.1とされる
北朝鮮の国営テレビ・朝鮮中央テレビは現地時間
同日15時「大陸間弾道ミサイル搭載のため
水爆実験に完全成功した」と発表した。
もし確認されれば北朝鮮による過去最大規模
の核実験となる。
マグニチュードなどから推定した結果爆発規模は
150ktつまりリトルボーイの15倍とされる。
この150kt級水爆をミサイルに積載することが
できるのかという点は未だに不明である。

RS28 サルマト (サタンⅡ)

上は2018年3月30日に公表されたプレセツク宇宙
基地での2回目のサルマト発射実験である
●核出力:4.5Mt=4500kt=TNT火薬450万トン
●エネルギー:1京8828兆J
(核弾頭を15個積載した場合)
●影響範囲
核弾頭1つを450ktと仮定した場合
致死量放射線範囲:半径2.26㎞
火球:半径910m
20psiの爆風:半径1.67㎞
5psiの爆風:半径3.51㎞
1psiの爆風:半径9.02㎞
致死量な熱線:半径7.55㎞
●詳細
2018年3月1日ウラジーミル・プーチン大統領が
行った年次教書演説で取り上げた新型ミサイルで
国内向けとはいえアメリカ合衆国のミサイル防衛
システムでも阻止できない新型兵器であり従来の
北極経由の最短飛行ルートのほか南極経由の
長距離飛行でもアメリカ大陸へ達する能力がある
と紹介した。イタルタス通信によると射程距離は
11,000km超、弾頭重量は100tに達すると
報じられている。

10~16の核弾頭を搭載可能で射程距離は
1万1000キロ以上ミサイル防衛(MD)の迎撃を
受けないようにマッハ20という極超音速で飛行し
途中で分裂し弾道を降らせる。(MIRV)
米国を攻撃する場合、北極経由ルートのほか
南極を経由しMDの手薄な南方からも攻撃が
可能とされる。
※MIRVとは複数の核弾頭を装備しそれぞれが
違う目標に攻撃ができる弾道ミサイルの弾頭搭載
方式のこと。

DF-5(Dong-Feng-5) 東風5号

●核出力(威力):5Mt=5000kt=TNT火薬500万トン
●エネルギー:2京920兆J
●影響範囲
致死量放射線範囲:半径3.05㎞
火球:半径2.39㎞
20psiの爆風:半径3.72㎞
5psiの爆風:半径7.83㎞
1psiの爆風:半径20.1㎞
致死量な熱線:半径21.3㎞
●詳細
中華人民共和国が開発した大陸間弾道ミサイル(ICBM)。DoD識別番号はCSS-4。
中国史上最大の威力をもったICBMである。
【配備期間】
DF-5:1981年〜退役済み
DF-5A:1986年〜
DF-5B:2015年頃〜
【射程距離】
DF-5:12,000 km
DF-5A/-5B:13,000 km
【弾頭】
DF-5:3,900kg単弾核弾頭
DF-5A:小型化単弾核弾頭
DF-5B:3 x MIRV式核弾頭
【核出力】
DF-5/-5A:1〜3 MT
DF-5B:3 x 150〜350 kT



W-53 タイタンⅡ

●核出力(威力):9Mt=9000kt=TNT火薬900万トン
●エネルギー:3京7656兆J
●影響範囲
致死量放射線範囲:半径3.32㎞
火球:半径3.02㎞
20psiの爆風:半径4.53㎞
5psiの爆風:半径9.52㎞
1psiの爆風:半径24.5㎞
致死量な熱線:半径27.4㎞
●詳細
タイタンIの発展型であり液体燃料ロケットを用いた
二段式のミサイルである。開発はSM-68Bとして
1959年10月に開始された。初飛行は1962年3月12
日に行われている。
ミサイルの改良や推進剤の変更に伴い全体重量は
タイタンIの約100tから約150tへと大幅に増大して
いる。単弾頭ミサイルであり弾頭はMk.6再突入体に
W53核弾頭(重量6,200ポンド、核出力:9Mt)を
搭載している。
タイタンIのW38核弾頭(核出力3.75Mt)よりも
大威力化された。
アメリカ史上最大の威力をもったICBMである。
(現在は退役している)


キャッスル作戦ブラボー実験(SHRIMP)

●使用日時:1954年3月1日現地時間午前6時45分頃
●使用場所:マーシャル諸島ビキニ環礁
●核出力(威力):15Mt=1万5000kt
=TNT火薬1500万トン
●エネルギー:6京2760兆J
●影響範囲
致命的放射線範囲:半径3.63㎞
火球:半径3.71㎞
20psiの爆風:半径5.37㎞
1psiの爆風:半径29㎞
致命的な熱線:半径34㎞
5psiの爆風:半径11.3㎞
●詳細
キャッスル作戦として1954年3月1日に米軍により
ビキニ環礁で実施されたブラボー実験ではSHRIMP
と呼ばれる初めて水素化リチウムを使用した
水素爆弾が使用された。
リチウム7の核反応が予想より多かったために
当初推定されていた6.0Mtという核出力を
はるかに超えて15.0Mtという高出力となった。
これはアメリカ史上最も高出力な核実験となった。
想定より威力が大きかったためロンゲラップ環礁や
ウチリック環礁に放射性降下物が降り注ぎ、
その降下物を雪だと思った子供ら(島民)が降下物で
遊んだため子供も大量被爆を引き起こした。
この実験によりロンゲラップ島民などの被爆者は
合計約2万人を超えた。
他にも日本の漁船「第五福竜丸」など
数百隻を超える漁船の船員が被爆した。
その後におけるアメリカ政府の対応の不適当さ
から被爆者の数が増え特に当時のマーシャル諸島の
住民に対する処置は事実上の人体実験ではないか
とする批判がある。
第五福竜丸の久保山愛吉無線長(当時40歳)が
死亡した際日本人医師団は死因を「放射能症」と
発表したが米国は現在まで
「放射線が直接の原因ではない」との見解を
取り続けている。
現在も除染は完全に行われてはおらず
故郷に帰ることのできない島民も数多くいる。
実験を行なった島は消え去り深さ120m、
直径1.8kmのクレーターが生じた。



ツァーリ・ボンバ(AN602)他国ではRDS220

●使用日時:1961年10月30日午前11時32分以降
●使用場所:ソビエト連邦ノヴァヤゼムリャ半島
●核出力(威力):50Mt=5万kt=TNT火薬5000万トン
【広島原爆3300倍の威力】
●エネルギー:21京J
●影響範囲
致死量放射線範囲:半径6.6㎞
火球:半径4.62㎞
20psiの爆風:半径8.91㎞
5psiの爆風:半径23㎞
1psiの爆風:半径54.3㎞
致死量な熱線:半径60㎞
●詳細
当初ツァーリ・ボンバは100Mt多段階水爆として
計画されていたが市街地への放射性降下物が
予想されたため計画変更され50Mtで実験された。
ツァーリ・ボンバは特別な改修をうけたTu-95戦略
爆撃機(ツポレフ95)によって運搬・投下された。
熱線による被害を最小限に抑えるためTu-95には
特殊な白色塗料が塗られた。
重量27トン、全長8メートル、直径2メートル
と巨大なツァーリ・ボンバを搭載するために
爆弾倉の扉と翼燃料タンクが取り外され
それでも収まらなかったので半埋め込み式で搭載
された。Tu-95が当時のソ連爆撃機の中では最大級
であったことからもツァーリ・ボンバの巨大さを
うかがい知ることができる。
ツァーリ・ボンバには投下機が爆心地から
45キロメートル程にある安全圏へ退避する時間を
与えるために重量800kgにも達する多段階の減速用
パラシュートが取り付けられた。
午前11時32分ツァーリ・ボンバは北極海にある
ソ連領ノヴァヤゼムリャ上空で投下された。
投下高度は1万500mで内蔵された気圧計に
よって高度4,000mに降下した時点で爆発した。
爆発による火球の下部は地表まで届き上部は
投下高度と同程度まで到達した。
光度は太陽の光度の約1.4%に達し
火球は1,000キロメートル離れた地点からも
観測された。生じたキノコ雲は高さ60㎞、
幅30~40㎞であった。
核爆発は2000㎞離れた地点からも観測できた
と言われている。
爆発による衝撃波は地球上を3周したあとも
空振計に記録されるほど強力なものだった。
威力を半分に抑えた爆弾ではあるが
広島原爆の3300倍の威力があり単一の兵器として
人類史上最大である。
【50Mtでは広島原爆3300倍、
当初の計画通りの100Mtでは広島原爆3万8000倍
、第二次世界大戦で全世界で使用された総爆薬量
の50倍である。】

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